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静岡, 日本
写真 © Forward Stroke Inc.
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建築家
山縣洋建築設計事務所
場所
静岡, 日本
2014

「土木構築物を味方につける」 

敷地は静岡県三島市郊外の富士山が眺められる傾斜地に造成された住宅地のエッジにある。

様々な方向のかなり遠方から眺めることができるユニークな立地条件であった。ゆるやかにカーブしているアプローチの坂を上っていくと正面に敷地が徐々に見えてくる。敷地の大半は高さが約8mもある擁壁で占められ、平坦な部分は三角形のほんのわずかなスペースであった。この敷地に家族4人が住む住宅が要求された。初めて敷地を訪れたときに、この特異な状況をうまく利用したいと感じた。具体的には敷地を横断して南北方向におよそ300mも続き、高さが5~8mある断層のような圧倒的な存在感のある擁壁という土木構築物を味方につけたいと思った。

老朽化した擁壁に負担をかけないように、地盤を3mほど堀り、鉄筋コンクリート造の地下部分を擁壁に挿入した。このコンクリートの箱は支持層まで到達した長さ4mほどの鋼管杭の上に乗っている。この地下部分には寝室と水廻りの諸室を配置した。地下部分は西側に庭を持ち、3方を壁で囲まれて西側にのみ開放されている。それは崖に掘り込まれた穴蔵のような安心感のある空間となっている。

この擁壁に掘り込まれた基壇のような地下部分の上に木造の地上部分が乗っている。1階の木造のボックスにはリビング・ダイニングなどをワンルームで配した。大きな面積が要求された1階部分は地下よりも南側に大きくオーバーハングしている。この部分は鉄骨のブレースにより補強されている。地上部分は南北方向に連続しながら、幅と高さが変化するチューブ状の空間となっている。西側の壁面にはスリット状の水平窓があき、そこから限定された風景を見せている。空間は南側に意識が向かうようになっている。

対比的な空間となっている地下と地上はらせん階段のある吹き抜けで唯一つながっている。この吹き抜けの上部からは光が降り注ぎ、木の塊のような階段の上に軽やかな鉄骨の螺旋階段が浮かんでいる。

西側を走る幹線道路から敷地を見ると田んぼの向こうに、高さが8mぐらいある擁壁が南北に走り、その上の傾斜地には住宅地の家並みが続いている。この土木と建築のスケールの狭間に今回の住宅が挿入され、既存の擁壁があたかもこの住宅のための基壇のように見える。敷地は決して大きくないが、周辺環境と一体となり大らかなスケールを感じさせる住宅ができたのではないかと思う。

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