Photo © Shigeo Ogawa
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KIT HOUSE

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Location
京都, Japan
Year
2010

この建物は60年以上の歴史のある大学、京都工芸繊維大学のキャンパス中央に建てられる学生会館であり、1階に食堂、2階にブックショップとコンビニエンス・ストアが入る。

キャンパスの中央に建つため、キャンパス内の景観上のコンテクストを読み取り、その延長上でありながら、同時に新しい要素と魅力を付加するデザインとしたいと考えた。

一見すると単純なグリッド配置に見えるキャンパス全体を仔細に検討すると、本キャンパスから比叡山方向へ、南西から北東方向に抜ける斜めの空間の流れ、人の導線が存在しており、本建物もその「穏やかに斜方向性を読み込んだ直交グリッドのキャンパス」という暗黙のルールに乗っている。

キャンパスに収まっている矩形の2階建の建物、その2階のボリュームは北側構内道路にキャンティレバーで飛び出すことで、下部のピロティをこの建物への屋外アプローチ空間とし、緩やかな屋外階段はそこから2階の外部テラスへと繋がる。それらの屋外空間の連なり、1階のピロティや2階に設けた外部テラスが北側道路とのバッファとなり、キャンパスとの程よい距離をつくり出そうとした。

また、この場所に昔建っていた校舎のイメージを再現することも主題のひとつであり、その校舎と同じ切り妻連続屋根形状とすることで、工科系大学の建築に相応しいキャンパスの姿を提案する。さらにこのキャンパスの標準様式でもある煉瓦タイル張りの茶色い建物群に囲まれて建つ中で、外装素材についてもキャンパスイメージの原点に回帰することを提案し、煉瓦タイルではなく、むしろ煉瓦そのものを外壁に用いることとした。

同時に現代の建築としての軽快さを表現するため、煉瓦壁は2階のみに使用し、1階はピロティやガラスでキャンパスに開くこととする。また2階の煉瓦壁も場所によっては煉瓦を格子状に抜き取り、煉瓦の半透明壁越しに外部へと向かう視線を導入することとし、煉瓦による外壁であるにもかかわらず、キャンパスに開いた表現の可能性を模索した。

また南側にはウッドデッキ広場を設け、そこを新しい学生のアクティビティの中心とし、キャンパスに新しい活気を導入することを提案している。

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