佐世保港国際旅客ターミナル
長崎県佐世保市, 日本
- 建築家
- NKS2 architects
- 場所
- 長崎県佐世保市, 日本
- 年
- 2014
佐世保港および佐世保駅周辺では、新しい街の顔としての水辺空間を整備するために三浦地区みなとまちづくり計画という再開発計画が進められている。これまで関係の施設や物流拠点としてのイメージが濃かったエリアに、商業や居住施設を整備することになったのだが、さらにはアジアからの定期航路やクルーズ船を誘致して、観光客も含めた賑わいを作り出すことを目指し、既存倉庫を改修した国際旅客ターミナルが計画されることになった。
しかし、エリアの将来像や国際航路の今後の展開については未定の部分も多いため、新ターミナルには、できるだけ改修コストを押さえながらも柔軟に多くの目的に対応することが求められた。
既存建物は最大約12mの天井高を持つ大空間で、空調された室内空間を作るためには、一般的な高さの天井を新たに設ける必要があった。しかし屋根外壁を支える既存の鉄骨フレームには更なる荷重を負担させることはできない。そこで、既存の構造とは独立した大きな一枚の構造体「天井グリッド」を建物高さの中央付近に挿入することにした。
天井グリッドは上下2段の部材をはしご状につないだ約2.7mの成を持つ軽量の梁を主構造としている。大人数が利用する待合ホールのために無柱空間を作り、必要に応じて高さを変化させる天井面を支える。各ホール空間の中央部には自然光を導き、それぞれの場所を性格づける四角いトップライトを配置した。
天井グリッドは、必要に応じていくつもの役割を果たすインフラである。既存建物から張り出させて挿入することで、道路側は交通アクセスのための庇となり、海側は出入国のための庇とともに上部は送迎デッキになった。また室内においては、軽量間仕切・可動パネル・サイン・照明・音響設備などの取り付ける下地であり、メンテナンス通路を含む空調換気・電気設備の設置スペースとなる。さらには2階に配置された事務所やブリッジを支える構造となっている。
経年劣化していた既存建物の屋根外壁は、軍港としての佐世保港のイメージを受け継ぐ明度の低い外装材で新しく葺き替えた。一方新しく挿入された部分には対比的な白色を使った。これから建物が利用されるにつれて、クルーズ船のように真っ白い天井グリッドを背景に様々な要素がインフィルとして挿入され、明るく活気ある空間へと変化してくれることを楽しみにしている。
関連したプロジェクト
Magazine
-
Kinderspital Zürich
1 day ago
-
Four More Years to Go
2 day ago
-
(In)Filling Chicago's Missing Middle
3 day ago