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長野県東御市, Japan
© Chiba Kenya
Foto © Chiba Kenya
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Architetti
ihrmk
Sede
389-0505 長野県東御市, Japan
Anno
2021

日常の「普通の風景」の中に滑り込ませる
浅間山麓の田園に建てられた農業用のプレハブ倉庫を、東京で美容師として15年以上の経験のあるクライアント夫婦がUターンで新しく開店する(写真スタジオを併設した)美容院へと再利用する計画である。
敷地は小さな鳥居から持ち主の居なくなった古い神社へ上る細い参道を兼ねた農道の途中で、東御の町や八ヶ岳連峰を見下ろす豊かな眺望の中にあった。周囲には同じようなプレハブ倉庫が点々と建ち田園の風景を形作っていた。
ある程度安定した地域コミュニティの中に新たなプログラムを計画する際、地域の文脈へどのように滑り込ませるか。プレハブ倉庫はこの地域の人々にとっては日常であるが、私たちはこの風景を田園の建築様式の一つと捉え、25年以上建ち続けるこの建物を再利用することとした。

普通のプレハブ倉庫を再利用する
既存のプレハブ倉庫は間口10m奥行6mほどの平面で、シャッターによって全開放できる開口部は目の前に広がる南側農地に面し、他の3面は鋼製胴縁下地にガルバリウムの角波鋼板で覆われ、床は土間コンクリートで、農業用の倉庫という機能のために設えられた簡素な建物であった。
ここでは単に外壁を支える下地であった胴縁を窓や壁、家具のデザインコードとした。窓は胴縁や柱の間隔によって寸法を決めて外壁をくり抜き、壁や家具には胴縁と同じ高さや幅を持つ白いラインで構成することで、既存の胴縁に新たな意味を与えていった。

外部の小さなきっかけを取り込む
内部と外構は、建物に付随する様々な要素を取り込んで計画した。裏表をミラー仕上げとして周辺の山々を映し出す可動の鏡、県道の軸線を尊重し道路境界に沿ったデッキとフローリングの張り方向、神社への参道を感じる下方の窓等々、それぞれの要素が内外・新旧関係無くお互いを参照しながら自由に振る舞う柔らかな関係そのものをつくりたかった。

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