鋸南町都市交流施設・道の駅 保田小学校

千葉県鋸南町, Japan
Architekten
空間研究所/篠原聡子
Standort
千葉県鋸南町, Japan
Jahr
2015

日本女子大学(篠原聡子)、法政大学(渡辺真理)、横浜国立大学(北山恒)、早稲田大学(古谷誠章)の4大学が共同して新潟県上越市(当時の浦川原村)の廃校を改修した「月影の郷」は、昨年オープン後10周年を迎えた。住民同士や学生たちとの交流も活発に継続し、ありがたいことに年々利用者が増加している。今回は、当時の4教員の事務所で構成されるN.A.S.A.共同(NASCA〈N〉設計組織ADH〈A〉空間研究所〈S〉architectureWORKSHOP〈A〉)を中心に設計をまとめ、さらに工学院大学(木下庸子)を加えた大学協働チームが協力するかたちで南房総鋸南町の廃校活用に取り組んだ。

募集されたプロポーザル要項での要求は、産直市場やテナントスペースの設置、既存の体育館を急時の避難場所として残しておくことであった。それに対して私たちの提案は、鋸南保田IC出口の真ん前にあり人目を引きインパクトのある体育館を産直市場に再生し、代わりに既存校舎の2階教室部分を、2拠点居住や週末就農を目指す都市からのビジターのための軽便な宿泊施設としようとするものだった。さらにその前のベランダ部分を繋いで「まちの縁側」をつくり、地元住民ともども誰もが自由に滞在し交流のできるスペースを生み出そうというものだ。これがあれば、避難所としても体育館の床より格段に居心地のよいものができるだろう。風呂場も新設されている。

校舎1階部分には、嬉しいことに地元で素敵な飲食店を営む人たちが、次世代に向けてチャレンジするような新店舗を出店してくれた。ここも地域の人びとにとって核となり、たまり場となるだろう。

竣工式の日に旧保田小学校出身のおばあちゃんたちが喜んでくれたのも嬉しい。南房総一帯には魅力的な道の駅が少なくない。それらとも連携し、さらにここが文字通り都市住民との交流施設として真価を発揮するためにも、今後も学生たちを伴って、この施設やこの街との関わりを繋げていくことが不可欠だと思っている。既に第ニ、第三のプロジェクトが始動しつつあるのは大変頼もしい。(古谷誠章)

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